
「初穂料」を納めるときのマナーや注意点とは?
実際にご祈祷を受けて解説

こんにちは。神社大好きライターのしろすずめです(*^∋^*)
お宮参りや七五三参り、厄除けなど、神社ではさまざまなご祈祷が行われていますね。ご祈祷を受ける際には「初穂料」を納めますが、その意味やマナーをご存じでしょうか?
「初穂料ってそもそも何?」 「初穂料の金額は?どうやって準備したらいいの?」
そんな方に向けて、初穂料に関する知識やマナー、ご祈祷を受けるときの注意点を解説していきます。
解説にあたり、筆者は京都の「市比賣神社(いちひめじんじゃ)」を参拝し、実際に初穂料を納めてご祈祷を受けてきました。神社での申し込みからご祈祷までの流れをくわしく紹介しています。
この記事を読めば初穂料の基本的なマナーが身に付き、ご祈祷もスムーズに受けられるようになるでしょう。
初穂料とは
初穂料(はつほりょう)とは、神社でご祈祷やお祓いを受けたり、催事などの際に納める「神様への謝礼金」のことです。
かつては豊作への感謝を込めて、その年に初めて収穫した稲穂(=初穂)をご神前にお供えしていました。現在、そのかわりに納めるようになった金品が「初穂料」というわけです。
初穂料は基本的におめでたい「慶事」でのみ使用され、「慶初穂料」とも言います。通夜や神葬祭などの弔事では使用できませんので注意しましょう。
玉串料との違い
初穂料とよく似たものに「玉串料(たまぐしりょう)」があります。
玉串とは榊(さかき)の枝に紙垂(しで)をつけたもので、神事の際に神様にお供えするもの。初穂と同様、現在では玉串の代わりにお金が奉納されるようになりました。初穂料との違いは、玉串料は慶事だけでなく弔事にも使える点です。
初穂料と玉串料、どちらを使うべきか迷う場合は、慶事のご祈祷や御守り・お札を受けるなら「初穂料」を使用するのが一般的です。
初穂料の準備とご祈祷を受けるときの注意点
初穂料を奉納してご祈祷を受ける際の、事前準備や注意点について解説します。
初穂料の金額の目安
初穂料の金額は神社やご祈祷の種類によって異なります。
目安の金額が提示されているところもあれば、特に金額が定められておらず「お気持ちで」というところもあります。
一般的な初穂料の金額の相場は「5,000〜10,000円」が多いようです。
神社の公式サイトや社務所の受付付近に初穂料の目安の金額が書かれている事が多いので、事前にチェックしてみましょう。
初穂料の準備とマナー
初穂料は「神様への感謝の捧げもの」。お財布から直接現金を出して受けることもできますが、のし袋や封筒に入れてお渡しするとより丁寧です。
初穂料を奉納するときの基本的なマナーを解説します。
◆のし袋の選び方
初穂料を包むのし袋には、お祝いやお礼などの際に使用する、紅白の「蝶結びの水引」のものを使いましょう。水引が印刷された簡易的な封筒もあり、こちらも使用できます。
◆のし袋の書き方
のし袋の外袋の表書きには、毛筆や筆ペンで上部に「(御)初穂料」と書き、その下にはご祈祷を受ける人のフルネームを書きます。
「中袋」がある場合は、表面中央に初穂料の金額、裏面左下に住所と氏名を記入します。中袋がない場合は裏面の左下に金額と住所を記入しましょう。
◆お金の包み方
初穂料として包むお札は、できれば新札(もしくはなるべく綺麗な状態のお札)を使いましょう。お札に印刷されている人物の顔が「正面かつ上側」になるように揃えて包みます。
◆神社での渡し方
のし袋に包んだ初穂料は「ふくさ」に包んで持参します。ふくさがない場合は折れたり汚れたりしないよう、クリアファイルなどに入れるとよいでしょう。
初穂料は、ご祈祷の申し込みの際に神社の社務所で手渡します。神社によってはご祈祷後に渡す場合もありますので確認しましょう。
ご祈祷を受ける際の注意点
ご祈祷を受ける際には、初穂料のほかに以下のことにも注意しましょう。
◆ご祈祷の予約と時間
ご祈祷は日によって混雑することもあります。電話や公式サイトからご祈祷の予約が可能な神社であれば、事前に申し込んでおくと安心です。
また、当日は時間に十分な余裕をもって行くのが望ましいでしょう。ご祈祷の所要時間は15〜30分程度が多いですが、大勢の参拝客で混雑していたり、人数や祈祷内容によって想定以上に時間がかかることも。
ゆとりのある日に、落ち着いてご祈祷を受けましょう。
◆ご祈祷を受ける服装
神社やご祈祷の種類にもよりますが、実際に神社の神職さんに質問してみたところ「一般的なご祈祷なら、よほど派手でなければ普段着で大丈夫」とのこと。
企業として受けるご祈祷ならフォーマルなスーツ、お宮参りや七五三参りでは和装など、状況や祈祷内容に適した服装で臨みましょう。
また、服装で特に重要なのが「足下」。靴を脱いで昇殿する神社もありますので裸足はNGです。季節を問わず清潔な靴下やストッキングを履きましょう。
市比賣神社でご祈祷を受けてみた
ここからは、筆者が京都にある市比賣神社(いちひめじんじゃ)を参拝し、実際に初穂料を奉納してご祈祷を受けた様子をご紹介します。
市比賣神社について
平安時代の795年に創建された市比賣神社は、ご祭神がすべて女性の神様であることから「女性の守り神」として知られる神社です。
女性すべての願い事にご利益があるとされ、皇后陛下もお受けになられた「女人厄除け祈祷」は特に有名です。厄除けのほか、子授けや安産、婦人病平癒などの祈願に全国各地から多くの女性が訪れます。
神社創建当時の場所にあった「天之真名井(あめのまない)」という神水は、歴代天皇の産湯に使われるなど神聖なお水です。
現在の市比賣神社にも天之真名井があり、参拝客は絵馬を掛けてこの清いお水を飲み、願掛けすると願いが一つ叶うと言われています。
市比賣神社を参拝
市比賣神社は京阪五条駅から徒歩5分ほどの所にあります。あるマンションの1階部分が空洞(トンネル)となった所が神社の入り口という、大変珍しい外観で驚きました。
そこを通り抜けると、ややこぢんまりとした神社の境内がある、というイメージです。
ちなみに自動車の専用駐車場はありませんが、自転車は入り口向かって右側の空きスペースに駐輪してよい、とのことでした。
見どころはたくさんありますが、特に女性にご利益があるというだけあって女性向けの御守りや絵馬、ご祈祷がたくさんあります。
使い終わったカードの供養をする「カード塚」や、トイレ専用の御守り「おとう鈴」など、市比賣神社ならではのものも見受けられます。
小さな赤いだるまに入った「姫みくじ」も有名です。手のひらサイズでとても可愛らしく、だるまに願い事を書いて境内に奉納するもよし、御守りとして持ち帰ってもOKです。
筆者は大事に持ち帰って部屋に飾っています。
規模は小さいですが神社全体が華やかで優しい雰囲気で、奥にはお稲荷さんの社もあります。神職の方や社務所の方もとても親切にしてくださいます。
筆者がご祈祷の申し込み書の書き方で悩んでいると気さくに声をかけてくださり、緊張がほぐれました。
市比賣神社でのご祈祷の流れ
それでは、市比賣神社でのご祈祷の流れについてご紹介します。
【1】ご祈祷の申し込み用紙の記入
まず、ご祈祷の申し込みをします。
神社の入り口すぐのところに机と椅子が置かれたスペースがあり、そちらに設置されている「ご祈祷申し込み用紙」に受けたいご祈祷や必要事項を記入します。
こちらの神社でのご祈祷は大きく分けて2種類あります。「厄除け祈祷」と「厄除け以外の祈祷」という感じです。筆者は「厄除け以外の祈祷(病気平癒)」のご祈祷をお願いすることにしました。
【2】社務所での申し込みとご祈祷矢羽根の記入
記入済みの申し込み用紙と初穂料を持って、すぐ向かいにある社務所へ。社務所の方に「よろしくお願いします」と、申し込み用紙と初穂料の入った封筒を手渡しました。
確認が済むと社務所の方から「ご祈祷矢羽根」という、木の棒と赤・黄色の紙で作られた小さな矢を手渡されます。
再び記入スペースに戻り、この矢羽根の赤い紙の方に「氏名・生年月日」、黄色い方に「ご祈祷名・参拝年月日」を記入してしばらく待機します。
【3】手水でのお清めと写真撮影
数分のうちに名前を呼ばれ、すぐ近くの手水のところへ。神職の方が手水の水を両手にかけて清めてくださり、手拭き用の紙もその場で渡してくださいます。
それが終わると矢羽根を手に持ち、鳥居の前で写真撮影をします。神職さんが神社のカメラで1枚撮影し、1年間飾ってくださるとのこと。ご祈祷で神社の方に写真撮影をされるのは初めてで驚きました!
【4】ご祈祷
いよいよご祈祷です。ご案内に従い、一礼して右奥の入り口から本殿の中に入ります。靴は履いたままでした。本殿の中は10人も入ればぎゅうぎゅうになってしまいそうな、やや手狭なスペースです。
奥の机に荷物を置き、手をアルコール消毒した後、矢羽根だけを手に持って正面の椅子に腰掛けます。
神職の方が神様に一礼し、まず祓詞(はらえことば)を奏上されます。大幣(おおぬさ)で神前をバッサバッサとお清めされ、祝詞(のりと)の奏上と続きます。奏上の間は目を閉じて頭を下げます。
その後立ち上がり、手に持っていた矢羽根を正面の机の上にある「竹筒」に刺します。2リットルペットボトルほどの大きさの太い竹筒の内部には、発泡スチロールが詰められており、そこに多数のご祈祷矢羽根が刺さっていました。
空いているスペースに自分の矢を刺すと、神職の方が矢の上に手を置いて祈りのパワーを込めるような仕草をされました。
その後、神様に二礼二拍手し、祈願して一礼、再び椅子に腰を下ろします。最後に神職さんが「神楽鈴(かぐらすず)」をシャンシャンと鳴らして清めてくださり、ご祈祷は終了です。
真心のこめられた大変ご丁寧なご祈祷で、晴々とした気持ちになりました。 神職の方に心からお礼を言いました。
【5】ご祈祷後にいただくおさがり(撤饌)
ご祈祷後、神様にお供えされていた「おさがり(撤饌)」をいただきます。紙袋の中には御札、御守り、絵馬、お米やお菓子などのご神餞(しんせん)、そして空のペットボトルが入っていました。
ペットボトルは、この市比賣神社の天之真名井のお水をいただく容器です。お水はお風呂に入れてお清めに使ったり、煮沸消毒して飲水として利用できるとのことでした。
(お水は神社で成分検査を実施されており、そのまま飲んでも支障はないそうです。コロナ等の心配があるため、飲む際には煮沸消毒をおすすめされています。)
ご祈祷の後は絵馬を書いて境内に掛け、天之真名井のお水をいただき、神様に手を合わてご祈願ください、とのことでした。
おさがりの内容一つひとつについて丁寧にご説明くださり、ありがたかったです。
まとめ
今回は神社での初穂料の納め方やご祈祷について解説しました。
初穂料の基本的なマナーやご祈祷を受ける際の注意点、そして京都の市比賣神社で実際に初穂料を納めてご祈祷を受けた様子をご紹介しました。
市比賣神社は女性にご利益がある神社ですので、女性特有のお願い事がある方には特におすすめの神社です。
神様に感謝を捧げる「初穂料」。神様にも神社の方にも気持ちよく受け取ってもらえるよう、マナーを守って準備をし、ご祈祷を受けましょう。
- ・京阪五条駅:徒歩5分 市バス河原町五条正面 3分
- ・地下鉄 烏丸線:「五条」より徒歩10分
- ・市バス:河原町五条正面 3分
- ※自動車の専用駐車場はありません。
- ※自転車は、神社入り口向かって右の空きスペースに駐めてもよいそうです。