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執筆者:夕顔
感動特集

私の小さなアルデバラン

執筆者:夕顔
執筆者:夕顔

皆様、こんにちは!
1歳と4歳の女の子を育てております、ママライターの夕顔です。

子育てをしていると、日々はあっという間。

1年間で7センチも伸びていた長女の成長ぶりに目を見張り、
いつの間にか、弾けるようになっていたヴァイオリン『きらきら星』にビックリ!
次女は、赤ちゃん筆を作るために、髪の毛をカットへ。
伸びた髪の毛に時の経過を感じて、しみじみするのも束の間。
登れなかったはずの階段を這い上がるようになって、今度は嬉しい悲鳴。
子供を相手に奮闘していると、日々、感情がジェットコースターのように乱高下して、休まる時がありません。

今日は、そんな我が家の日常生活の中から、ささやかな感動エピソードを皆様にもお裾分けしたいと思います。

    まずは、我が家の家族構成をご紹介🏠

    パパ
    趣味釣り、特技釣りのサラリーマン。闘牛系牡牛座。
    ママ
    いつもドタバタ、おっちょこちょい。しかし内面は真面目。典型的山羊座。
    コウ(長女)
    4歳。警戒心強め。既にママよりもシッカリ者気質の予感。牡牛座。
    レイ(次女)
    1歳2か月。好奇心旺盛な女の子。我が道を突き進む、水瓶座。

涙の最終登園日

2023年3月31日は、私と長女にとって、忘れられない日になりました。
0歳クラスから4年間通った保育園を巣立つ日だったからです。
しみったれた雰囲気になるのが嫌で、朝は元気いっぱいに送り出しました。
最終登園日は、年度末でもあることから、クラスでお別れ会が予定されていました。
夕方、お迎えに行くと、担任の先生がお別れ会の様子を細かく伝えてくれました。
「花束を渡す子が号泣しちゃって。そうしたら、他の子たちも、みんな泣き出しちゃって」
私は驚きました。
まだ年少児です。実際のところ、お別れが何かも、よく分かっていないのでは、と思っていました。それでも、大人が想像するよりも、ずっと敏感に感じ取っていたのだな、と。
長女は、少し離れたところに立って、恥ずかしそうに聞いていました。
「人気者のコウちゃんだから、新しい保育園に行っても頑張れると思うよ!」
担任の先生は優しく声をかけてくれて、最後はハイタッチをして別れました。
教室を出て、階段を降りていた時です。
0歳クラスから3年間持ち上がりで担任だった先生に遭遇しました。
先生は、他クラスの子供たちを引率していたのに、足を止めてくれました。
「コウちゃん! 今日、最終日だったね!」
先生の顔をみるなり、私は思い出が溢れてきました。
「ううっ、ううっ」
長女も、周囲もビックリ。
気が付けば、私は声を上げて泣いていました。

『保育園落ちた日本死ね』

保育園に入園が決まったのは、2019年の春。
その数年前に、衝撃的なワードが日本中を駆け巡りました。
それは、『保育園落ちた日本死ね」。
事の発端は、匿名のブログでした。
子供を保育園に入れられなかった母親が、『私活躍出来ねーじゃねーか』と強烈な憤りをぶつけたのでした。
この言葉は、インターネット上で拡散され、賛否両論を巻き起こしました。
待機児童問題の深刻さに多くの共感が集まる一方で、言葉遣いの汚さを批判する声もありました。
しかし、私は、ちょっと違う見解でした。
そもそも『保育園落ちた日本死ね』っていう、気概がすごい。
私だって、仕事はそれなりにやっています。キャリアだって、できれば手放したくはないです。
それでも、保育園に落ちて日本死ねというほどの気迫はありません。

私は、子供を産んだ当時、保育園には預けたくないと思っていました。
仕事は代わりの人ができるけれど、子供の母親は自分しか全うできないはずだ、と。
今考えれば、仕事と比べると、子育てに関してかなり気負っていたのだと思います。

赤ちゃんは昼夜問わずに泣くし、何でも口に入れるし、片時も目が離せません。
それでも、少しずつ成長していく過程が嬉しくて、育児休業は、幸せな時間でした。
私は、保育園に落ちれば仕事を止める口実になるかもとさえ、思っていました。
実際、保育園の申し込み用紙に、1つしか、希望の園を書かなかったのです。

しかし、私は保育園に内定しました。

2019年4月 入園式
2019年4月 入園式

コロナで中止になった数々の行事

長女は物心がつく前から保育園に預けられ、生活することになりました。
しかし、実際に預けてみると、メリットも沢山ありました。
一番素晴らしいなと感じたのは、子供たちの興味を引き出す「遊び」に徹してくれたこと。
季節のイベントにちなんだ工作。夏には、水遊び。色水を作ったり、氷を使った感触を楽しんでみたり……。
オタマジャクシのいる池に行ったり、リトミックや英語に触れてみたり……。
とても一家庭ではできない、充実したカリキュラムでした。
残念なことに、世の中では2020年初頭からコロナが流行し、多くのイベントは中止を余儀なくされました。
長女の通う園も、例外ではなく、運動会や保護者会の開催が見送られてきて、その都度、残念な思いをしました。
それでも、心の成長を妨げないようにと配慮をしてくださった先生方には、感謝しかありません。

  • 福笑い
    福笑い
  • 節分のお面
    節分のお面

毎日の送迎と朝ドラ『カムカムエヴリバディ』

この4年間の間に、我が家は転居をして、第2子が生まれました。
転居をした時点で、保育園は転園するつもりでした。
しかし、育児休業中には転園ができず、毎日往復6キロの道のりを自転車で送り届けることになりました。
第2子の産休中、送迎前に見ていたのが、3期前の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』です。
『カムカムエヴリバディ』は、昭和・平成・令和という3つの時代に生きた、祖母、母、娘の物語で、朝ドラ史上初めて、ヒロインが3人いました。
ストーリーはもちろん、主題歌『アルデバラン』とオープニングムービーが素晴らしくて、私は毎朝、涙していました。
オープニングムービーは、切り絵のコマ撮りになっていて、祖母・母・娘の3世代がバトンを渡していくように、画面を繋いでいました。
私は当初、平成時代に生きる娘役に自分自身を投影しつつ、見ていました。
しかし、途中からは、娘役に長女を投影していました。
お話が進むうちに、視点が入れ替わっていたのです。

  • 2020年 保育園前で撮影
    2020年 保育園前で撮影
  • 2022年 ヒロインは君だ!
    2022年 ヒロインは君だ!

私の小さなアルデバラン

保育園の帰り道、思いがけず昔の担任に会ったことで、私は4年間の記憶が一気に蘇りました。
本当は行くつもりのなかった保育園。まだ歩けもしなかった時から通ったクラス。
最初は、後ろ髪を引かれる思いで、向かった勤務先。
いつの間にかお友達も増えていたのに……。
私は少しの間、後悔しました。
近所の保育園に転園させなくても、通うこともできたのではないか。
妹と同じ保育園でなくても、仲良しの友達と卒園まで過ごしたほうが楽しかったのではないか。
しかし、元担任は朗らかでした。
「お母さん、泣かないで下さいよ~! コウちゃんは、レイちゃん(次女)と同じ保育園だから、頑張るって張り切っていましたよ。レイちゃんは初めての保育園だから、私が守ってあげるんだって」

先生の言葉に、私はハッとしました。
自分だって、寂しいだろうに。まだ小さな体で、妹を守ってあげようと思ったんだ……。
込み上げてくる気持ちと共に、私の頭の中では『アルデバラン』の音楽が流れていました。

『アルデバラン』とは、牡牛座の一等星。
語源はアラビア語にあり、「後に続くもの」という意味を持ちます。
これは、アルデバランが東の地平線から昇ってくる際、すばる(プレアデス星団)の後に続いてくることから命名されました。アルデバランは、和名でも「後星」と言います。

2023年 最終日の降園
2023年 最終日の降園

子供の成長は、一瞬一瞬が、かけがえのない時間。
手放せば、もう2度と返って来ない、大切な時。

母親である私自身、迷ったり、悔いたりすることは大いにあります。
だけど、あまり心配しなくても、子供は自分自身で、ちゃんと育っていく。子供には、その力が備わっているんだと、実感しました。

いつか、後に続くもの―
私を追い越していく、光。
一回り逞しくなった娘の背中に、私は目を細めました。