
雨の日に行きたい神社仏閣3選

雨の日こそ、おまいり日和
雨の日は、気分も曇りがちになりますよね。
お出かけスポットは晴れを想定した場所が多いですが、神社やお寺なら雨の日の風情もまたいいものです。
神道では、雨は穢(けが)れを洗い清めてくれると言われており、また仏教では、衆生を救う仏の教えを、万物を育む雨に例えます。
そう考えると、気分も明るくなってきませんか?
私がおすすめする、『雨の日に行きたい神社仏閣3選』は、こちら!
1.護国山曹源寺(岡山県岡山市)
2.知立神社(愛知県知立市)
3.玉龍山長泉寺(長野県塩尻市)
1.護国山曹源寺(岡山県岡山市)
住所:岡山県岡山市中区円山1069
駐車場:あり(数台)
御朱印:あり
公式HP:岡山市公式HP内
曹源寺は、備前岡山藩の池田宗家2代藩主、池田綱政が創建した池田家の菩提寺です。
海外からの修行僧を受け入れており、訪れた際も外国人の僧侶の方が境内を掃き清めていらっしゃいました。
こちらの見どころをご紹介します。
①心鎮まる、門前の蓮
曹源寺の門の脇は蓮池になってあり、蓮が大きな葉を伸ばしています。
花の時期は8月ですが、それ以外の時期でも蓮の葉に溜まった水滴がころころと輝きながら転がる様子もまた美しいものです。
『蓮の花は、泥より出でて泥にまみれず』という言葉があります。
その言葉どおり、蓮の花は、煩悩に満ちた世の中でも仏の教えに導かれて悟りを開くという仏教のシンボル。
門の中にも蓮が植えられ、俗世を離れて浄土へ近づいていくかのような気持ちにとらわれます。
②じっくりと鑑賞したい、美しい山門
杉木立の中にある、これぞ日本の美といった感じの山門。
創建時のものがそのままに残っており、内部には仏壇があり、中央には宝冠釈迦如来像、左右に両脇侍、その周囲に十六羅漢を配置してあるのだとか。
外から見ても非常に造りが細かく、繊細。
黒々とした山門に、青いもみじの繊細な葉が映えてため息が出るような美しさです。
曹源寺は桜の名所、紅葉の名所でもあるそうですが、その季節にもぜひ訪れてみたい!
③名君の愛した庭園
本堂にお参りしたら、ポストに入場料100円を入れて生垣沿いに奥へと進み、庭園を散策しましょう。
この庭園がまた素晴らしいのです。
三大名園のひとつ後楽園を作らせた名君、池田綱政が建立した仏閣にふさわしい庭園となっています。
鯉の泳ぐ広い池には舟屋が設けられており、枝垂れ桜、藤、牡丹、桔梗など季節の花が楽しめます。
池田綱政公が造営させた後楽園は、大名の庭園であるにも関わらず、華美な植栽よりも田園風景を中心とした生活美が重んじられています。
これは池田綱政公自身の好みであり、彼は後楽園の完成にあたり、造営に関わった家臣たちをねぎらい宴を催したと言います。
洪水に悩まされていた地域を大規模な治水工事で改良し、新田開発行い財政難から藩を救った名君。
その人柄が、この風流でありながらも素朴な曹源寺の庭園からも偲ばれます。
2.知立神社(愛知県知立市)
住所:愛知県知立市西町神田12
駐車場:境内駐車場もしくは知立公園駐車場
御朱印:あり
公式HP:https://chiryu-jinja.com/about.html
知立神社は、東海道の宿場町として栄えた知立の町の、まさに旧街道沿いにあります。
東海道をゆく旅人たちにとっては『マムシ除け』のご利益があると有名で、みな懐にこの知立神社の神札を忍ばせて歩いたのだとか。
そんな知立神社のおすすめポイントは、こちら!
①鯉の噴水と、『片目の鯉』の話
境内にある御手洗池にはたくさんの鯉が泳いでおり、片目の鯉をかたどった噴水があります。
知立(ちりゅう)という地名は本来、池鯉鮒(ちりふ)と書き、この池にちなんだもの。
古くは池鯉鮒大明神と呼ばれていました。
“病で目が見えない娘のために、長者が池鯉鮒大明神に願掛けをしたとさ。
その祈りは天に通じ、大明神のお使いの鯉が娘に片目をあげたので、娘の病は治り、目も見えるようになったんだと。
この池の鯉が片目になったのは、そのためだとさ”
という昔話が残っています。
知立神社は千三百年もの歴史のある神社。雨の日は人も少なく、参拝にはぴったりです。
②知立神社付近で史跡探索!
参拝の後は、街道沿いの松林、知立城跡、街角の石灯籠…観光マップを片手にそぞろ歩きもいいですね。
知立神社に隣接する花しょうぶ公園は、毎年5月~6月初めに花しょうぶまつりが行われます。
湿地を好むかきつばたや花しょうぶの群れは、雨が大好き。雨空でも生き生きと輝きます。
公園内のレトロな洋館『養正館』は、明治18年に建てられ、ここで明治天皇がご休憩を取られたこともあるという由緒あるもの。
また、知立神社の旧参道沿いには、とても立派な山車蔵が建っていますので。ぜひ見てみてくださいね。
知立神社のお祭りは、山車文楽と山車からくりで有名。
山車で文楽やからくり人形での芝居が上演されるのは全国でも珍しいそうですよ!
知立市といえば、大あんまき!
もともと江戸時代からこの地方で作られ、大名へも献上されていたといいます。
小松屋本家は、もともとは知立神社の参道沿いにあった茶店でした。
明治22年に和菓子屋として創業し、現在知られている大あんまきの形を完成させました。
現在のご主人は5代目。
大あんまきには、小松屋本家の店名と、知立市のゆるキャラ『ちりゅっぴ』のかわいい焼き印が押されています。
白あんと黒あんがあり、どちらも手堅い美味しさ。
夏には、いくつかに切ってから凍らせて食べる『アイスあんまき』もおすすめ!
3.玉龍山長泉寺(長野県塩尻市)
住所:長野県塩尻市奈良井365
駐車場:奈良井宿の駐車場(権兵衛駐車場)をご利用ください
御朱印:あり
公式HP:https://narai-chosenji.com/
最後は、玉龍山長泉寺をご紹介します。
中山道沿いの宿場町のひとつ、奈良井宿。宿場町の風情を色濃く残す町並みの中に建つ仏閣です。
こちらも雨の日に訪れてみて頂きたい場所のひとつ。
①奈良井宿の歴史を語る山門と駕籠
玉龍山長泉寺は、南北朝時代の創建。
戦災や火災によって何度も焼失と再建が繰り返され、現在の山門はもともと奈良井宿の本陣(大名や旗本、勅使など身分の高い人が宿泊する建物)の門を移築したものだそう。
そして本堂の天井には、駕籠(かご)が吊るされています。
これは実際に使われていたもので、持ち主は島津藩士、福崎七之丞。
彼は、江戸から薩摩藩へ向かう大名行列の先触れをつとめていましたが、奈良井宿に滞在中、病気で亡くなり長泉寺に埋葬されました。
長い旅路は、体の負担になったことでしょう。
大名たちの妻子を人質に取り、時間も費用もかかる参勤交代は、各大名の財力を削り経済的にコントロールする制度である一方、地方の宿場町にとっては大きな恩恵をもたらしていました。
福崎七之丞の駕籠は、その光と影を表しているようでもありますね。
②巨大な龍神が見守る、玉龍山長泉寺
長泉寺は、明治時代の飛騨の職人が手掛けた見事な天井絵で有名。
頑張って真上を見上げてください。迫力がありますね!
長さ20m、幅3.5mの巨大な龍は、いわゆる八方にらみの龍。どこの角度から見ても、目が合いますよ。
龍神は仏法の守護神であり、修行している僧侶の方や長泉寺を訪れる人を見守っています。
また、『お寺ねこ』ラグドールのラグちゃんは、出会えたらラッキーな長泉寺の人気者。
公式HPでその可愛らしい姿をみることができますので、チェックしてみてくださいね。
私はまだ現地で会えていませんが、ぜひ会いたーい!
③雨にも映える、奈良井宿の町並み
長泉寺での参拝が済んだら、宿場町の雰囲気をそのままに残した奈良井宿の町並みへ。
雨に濡れた町家の雰囲気もきっと素敵ですよ。番傘を片手に歩きたい!
この町並みをここまで維持するのは、陰で住民の方々が相当な努力をされているのでしょうね。
観光案内所では、渋い焼き印を押したヒノキ箸作り体験(1,000円)などもできます。(要予約)
町屋を改装したカフェ、着物レンタルショップなど、お土産屋さん以外にも楽しめる場所がいっぱい。
近年は、外国人客も大幅に増加しているのだそう。
奈良井宿には、長泉寺の他にも鎮神社や大宝寺など、たくさんの神社仏閣がありますよ。
雨の日に行きたい神社仏閣3選、いかがでしたでしょうか。
時雨、霖雨、涼雨、小糠雨…
雨を表す日本語は実に多く、数百にのぼると言われています。
神社仏閣でみかけることの多い樋鎖(といくさり)は、雨のしずくが伝う様子を鑑賞するもの。
他にも雨庭や水琴窟など、日本人は雨を楽しむ工夫を重ねてきました。
そう、雨を理由に『退屈だ~!』と家にこもる必要はないのです。
お気に入りの傘や、濡れても平気なレインシューズを用意して、さあ出かけましょう!