
水めぐりの旅~雨の日の神社3選~

雨の日は「洗濯物が乾かない」「外に遊びに行けない」など、どちらかというと(どちらかと言わなくても!)マイナスのイメージが強いですよね。
でもそんな憂鬱さも、神社に伺うとなぜか「恵みの雨」に思えてくるから不思議です。
先日、福島県にある猪苗代湖から、福島県の中心地である郡山市まで、「水をめぐる旅」をしてきました。
その際に参拝させていただいた知る人ぞ知る神社三社を、「雨の日に行きたい神社3選」としてお勧めしたいと思います!
雨の中の写真撮影だったので、写真が暗かったりブレたりしているのはお許しください。
猪苗代湖と、郡山市の水の歴史
福島県の真ん中にある猪苗代湖(いなわしろこ)は、日本で4番目に大きい湖です。
近くにある磐梯山の噴火によって出来た湖といわれていて、夏には湖水浴やカヌー、釣りをする人などでにぎわっています。
そして、猪苗代湖から山をひとつ超えた郡山市は、もともとは荒れ地だったものの明治時代に行った猪苗代湖から水を引く「安積疎水(あさかそすい)事業」で土地が潤い、それで県内一の商業都市になったとのことです。
安積疎水の全長はおよそ130km。栃木県の那須疎水、滋賀県の琵琶湖疎水と並び、日本三大疎水に名を連ねています。
雨の日に行きたい神社3選その1・小平潟天満宮
神社名:小平潟天満宮(こびらがたてんまんぐう)
住所:福島県耶麻郡猪苗代町
主祭神:菅原道真
まずは安積疎水のスタート地点に近い、猪苗代湖のそばにある小平潟天満宮へお参りしてきました。
目の前が湖で、夏場は湖水浴のお客さんが大勢見えてそうです。
ですが伺ったのは雨の日です。
他に参拝客もいなかったので、静かにお参りすることができました。
雨の日だと誰にも邪魔されずに願い事をお伝えできるから、神様にぜひともお伝えしたいことがある場合は雨の日を選ぶと良さそうだなと思いました。
ちなみにこの小平潟天満宮、日本三大天神らしいです。
神社の看板に書いてありました。
三大天神には福岡の太宰府天満宮、京都の北野天満宮のほか、亀戸天神や防府天満宮など諸説あるみたいですが、湖をじっと見つめるように立つこの神社は、祭られている菅原道真のご利益をいただけたら、余計なノイズが入らず勉強がはかどりそうです!
そして、すぐそばにある猪苗代湖の湖面には雨の波紋が次々に出来て、きれいな自然を独り占めすることができました。
この雨粒がやがて安積疎水を辿って郡山市にたどり着くんです。すごくスケールが大きいですよね!
東北なので冬場は雨ではなくて雪になってしまいますが、神社の近くに「しぶき氷(湖の波が凍る現象)」ができるスポットもあるらしく、四季を問わず、湖の景色を楽しみながら参拝出来そうです。
雨の日に行きたい神社3選その2:宇奈己呂和気神社
神社名:宇奈己呂和気神社(うなころわけじんじゃ)
住所:福島県郡山市三穂田町
主祭神:瀬織津姫
ゲームの影響で、近年、瀬織津姫がブームになっています。
瀬織津姫は水と浄化の女神で、古事記や日本書紀には登場しない謎の神様。
「天照大御神を信仰の中心としたい奈良時代の朝廷の思惑から、瀬織津姫は歴史から消されてしまった」というスピリチュアルな方のお話を目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな都市伝説のようなお話ですが、当時朝廷があった関西地方よりも関東や北陸、東北には、瀬織津姫の神社がぽつぽつと残されているのを見ると、あながちいい加減なお話ではなさそうです。
今回伺った宇奈己呂和気神社も、主祭神が瀬織津姫という珍しい神社です。
のどかな田園風景に突如現れる神社は、ひっそりとしていて厳かな雰囲気がします。
すぐそばに県道があるのに、雨が降っていたこともあると思うのですが、車の気配もすっかりとかき消えてしまいました。
水の女神である瀬織津姫の神社というと、「近くにきれいな池や川があるのかな」と連想される方もいらっしゃるかもしれませんが、もともとこの神社、奥宮は少し離れた山の頂上にあります。
奈良時代頃、山の頂上に瀬織津姫が現れたのをきっかけとして神社が建てられたそうです。
雨の日に山の頂上まで登って参拝するのはさすがに足元が危ないので、こうして車を泊めてすぐにお参りできるのはとてもありがたいです!
また、神社のすぐそばには、猪苗代湖と郡山市を結ぶ安積疎水の水路橋があります。
奈良時代頃にこの地に現れた瀬織津姫は、それから千年後の明治時代に、猪苗代湖から郡山市まで水路ができることを知っていたのかもしれませんね。
参拝したとき、境内の榊に白い花が咲いていたのと、神社内の水路にいた鯉が元気に跳ねていたのが印象的で、瀬織津姫に歓迎されているような気がしました。
雨の日に行きたい神社3選その3:開成山大神宮
神社名:開成山大神宮(かいせいざんだいじんぐう)
住所:福島県郡山市開成
主祭神:天照大御神・豊受大神・神武天皇
最後に、福島県郡山市の中心にある、開成山大神宮をご紹介します。
この神社は明治に出来た新しい神社です。
冒頭に「もともとは荒れ地だったものの明治時代に行った猪苗代湖から水を引く『安積疎水事業』で土地が潤った」と書かせていただきましたが、この開拓事業の拠り所として、伊勢神宮より分霊をいただいて出来たのがこの神社です。
明治維新を経て、各地より入植した人々が心をひとつにして開拓できるように、との思いがあったようです。
近くには安積疏水のそばを歩ける遊歩道があり、私が訪れた際は合羽を着た方が散歩をしていました。
境内には主祭神である天照大御神を祭る本殿と、商業都市らしくお稲荷さんを祭る神社があり、私が伺ったときは、小雨混じりのなか、神社の方や檀家さんと思われる方が神社の清掃をされていました。
開成山大神宮は東北のお伊勢さまと言われるそうで、県外からも商売繁盛のための祈願に来られる方がいらっしゃるようです。ご商売をされている方もそうでない方も、「雨降って地固まる」にあやかって雨の日に参拝されるのも良いかもしれませんね!
また、小さいながらも紫陽花小道があったり、古い桜の木もたくさんあり、葉っぱが雨に濡れてとてもキレイでした。どうやら花見の名所らしく、お花見の頃は花見客でにぎわいそうです。
最後に
今回は、「雨の日に行きたい神社3選」として、水の旅をテーマに、知る人ぞ知る神社と土地の歴史をご紹介させていただきました。
人の手で水路を創るという大きな事業には、神さまのお力添えがあったのかも知れないなあと思いました。
また、どの神社でも、雨の浄化ですがすがしく参拝させていただきました!
どこの神社か忘れてしまいましたが、以前に、神主さんから「参拝の時に雨が降っているのは、神様に歓迎されている証拠ですよ」と教えてもらったことがあります。
普段は憂鬱になる雨の日ですが、今回ご紹介した神社に限らず、水にご縁がある神社や地元の産土神社など、ピンとくる神社で「神様に歓迎される参拝」をしてみてはいかがでしょうか?
いつもよりも大きなご利益がいただけるかもしれませんね!