
いきあたりばったりお寺巡り

先日、大阪へ行く用事があり、その前日がまるまる一日空いていたので、京都へ行ってきました。
今回は、臨済宗の4つのお寺に行ってきました。
事前準備なし、地下鉄とバスを使って、行き当たりばったりのお寺巡りです。
本当に行き当たりばったりだったので、その時に感じたことを、そのまま書きました。
中にはちょっと辛口かもしれない内容や、私が勘違いしているだけのことも書かれています。ですが、一人の観光客の感想としてあたたかな目で見てもらえると嬉しいです。
【目次】
1.絶景かな絶景かな、南禅寺(京都市左京区南禅寺)
2.龍に見つめられた妙心寺(京都市右京区花園妙心寺町)
3.戦国時代に思いを馳せる大徳寺(京都市北区紫野大徳寺町)
4.非公開で残念!興聖寺(京都市上京区堀川通寺之内上)
5.さいごに
絶景かな絶景かな、南禅寺(京都市左京区南禅寺)
まずは京都駅から、地下鉄を使って南禅寺へと向かいました。
大きなお寺だけあって、地下鉄の改札には「南禅寺はこちらの出口」と分かりやすい表示があり、駅を出てから少し歩きましたが、迷わずにお寺に行くことができました。
ポイント
・石川五右衛門の伝説で有名なお寺
・掃除が行き届いていて、見学する時の配慮あり
・説明が少ないので事前に自分で調べる必要あり
南禅寺は、臨済宗南禅寺派の大本山です。
1291年に大明国師によって始まったお寺で、京都市の東側にあります。
石川五右衛門が三門の屋根に上り、「絶景かな、絶景かな」と言ったという歌舞伎「楼門五三桐」の伝説で有名です。実際に三門の上から見た景色は青い山がとてもきれいでした。
お寺ができた当時の建物は、室町時代の火災により今はありません。
今、建てられているお寺は桃山時代より後に建てられたものだそうです。
なお、境内の写真を掲載するためにはお寺の許可が必要ですが、時間の都合でお寺の許可が取れなかったため、写真は掲載しません。
南禅寺のここが良かった
①掃除されていてきれい
南禅寺の良かった点として、まずは、掃除がされていてとてもきれいだったことです。
先ほど書いた「石川五右衛門の伝説」がある三門は建物の中に入ることが出来るのですが、上の階に行くためにはとても急な階段を上らないといけません。
上る時はまだ良いものの、景色を見てから下に戻る時は、足元が見えるのでとても怖いです。
ですが、そんな急な階段を、お寺のスタッフの人が、観光客がいないすきを見て拭き掃除をしていました。スタッフの人に聞いたら、毎日掃除しているとのことです。
私なら怖くて掃除したくありません。
それ以外にも、道に雑草がなくて、いつもきれいに掃除しているんだろうなあと思いました。
②アクリル板や金網に穴が開けられていて、仏像が見やすかった
次に良かった点は、部屋の中に入ったり仏像や絵に触ったりしないように、大切なものがある場所にはアクリル板や金網が設置されていたのですが、その一部が切り取られていて、中がとても見やすくなっていたことです。
観光客は海外からわざわざ来る人も多いので、仏像や絵が見やすくなっていると親切で良いと思います。
南禅寺のここが残念だった
①お寺の説明が少なかった
次に残念だった点です。まずは、お寺の説明が少なくて、観光客の中には「ここは何のお寺なんだろう?」と思う人がいるかもしれないなということです。
石川五右衛門が上った門の中に入った時に、参拝のしおりはもらいました。ですが、しおりに地図が載っていなかったので、建物の説明が書かれていてもどの建物のことを言っているのかよく分かりませんでした。また、映像案内が南禅寺の本坊で流れていたのですが、英語の字幕がとても小さくて、海外の人は見づらいだろうなあと思いました。
②写真映えする所にカラフルな軽自動車が停まっていた
禅寺ではお寺の敷地の中に「塔頭」と呼ばれる小さなお寺がいくつか建てられていて、そこでお坊さんが修行をするそうです。
本当は、お寺は観光ではなくて修行をする場所だから仕方がないのだと思いますが、写真映えしそうな苔のきれいな塔頭の門の前にカラフルな軽自動車が2台停められていて、せっかくきれいな門なのに車でふさがれていてもったいないなあと感じました。
写真を撮りに来た方は、その場所を撮影することができなくて残念だったのではないかなと思います。
龍に見つめられた妙心寺(京都市右京区花園妙心寺町)
次に、南禅寺から少し歩いたバス停からバスに乗り、妙心寺へと出かけました。
バスにのんびり揺られて40分くらいかかりました。
普段は自分で車を運転するので、ゆっくりと外の景色を見ることが出来て良かったです。
妙心寺というバス停があって、バス停を下りてからも大きな看板があったので迷わずにお寺に行くことができました。
ポイント
・日本最大の禅寺。寺全体が街のよう
・観光客へのハード面の配慮がすごい
・配慮しきれなかったちょっとしたことが残念
妙心寺は臨済宗妙心寺派の大本山です。
1337年に無相大師が開いたお寺です。右京区花園という、昔は四季とりどりの花が咲いていた場所にあります。花園天皇がこの地を気に入って建てた離宮をもとに作られたお寺だそうです。
妙心寺の敷地の中には46ほどの塔頭(小さなお寺)があって、日本最大の禅寺だそうです。お寺の敷地内であるにも関わらず、まるで街の中を歩いているようでした。
法堂の中の天井には「360度どこから見ても目が合う」と言われている、狩野探幽という人が描いた雲龍の絵が一面に描かれていて、すごい迫力がありました。
妙心寺のここが良かった
①バリアフリーやお年寄りへの配慮
妙心寺に行ってすごいなと思ったのは、もともと急な階段だったものの隣に、緩やかな階段を追加で設置している点です。
昔の建物は階段が急で、一段一段の幅も狭いので足を踏み外してしまいそうになりますが、高さがそれほど高くなくて幅も広いと、お年寄りや小さな子どもは歩きやすいと思います。
また、建物の中の廊下にあった小さな段差には、すべてスロープがつけられていました。お年寄りは小さな段差でつまづいてしまうことがあるので、こういった配慮がされていると、お年寄りは助かるんじゃないかなと思いました。
②看板がたくさんあって分かりやすい
次に良かった点は、看板がたくさんあったことです。
私は妙心寺に行くのは初めてでした。お寺の入口にあった地図に、大量の塔頭(小さなお寺)が書かれていて「どこに行ったらいいんだろう」とびっくりしましたが、境内の色んな場所に看板が設置されていたので、それに従ってお参りすればいいんだなと分かりました。
また、法堂を見学するときにいただいたパンフレットに境内全体の地図が書いてあったり、法堂内の地図も別に配布していたので、とても広いお寺でしたが、迷わずに見学することができました。
妙心寺のここが残念だった
①スタッフの人の話し声が大きかった
次に残念だった点です。法堂や大方丈、大庫裏(当時のお坊さんの台所)を見学したときに、廊下に面している寺務所から大きな声が聞こえてきました。専門用語は分かりませんが、お寺の行事か何かの打ち合わせを電話でしているようでした。
パンフレットに「他の方の迷惑になりますので、私語はお慎みください」と書いてあるのに、お寺の人が大きな声で話をしていたら説得力がないなあと思いました。
たまたま電話の相手が、耳が遠い方だったのかもしれませんが、せっかくの貴重な建物を見せていただくのだから、もう少し静かに見学したかったなと思いました。
②入口のインフォメーションに最新情報を載せて欲しかった
これは自分の不注意でもあるのですが、お寺の見学のあとに行ったカフェで、お店の人から「妙心寺の夏椿を撮影してきたんですか」と訊かれました。
数日前に、地元新聞に「庭の夏椿が見ごろ」と写真付きで掲載されていたそうです。
その日は真夏日で、ちょうど団体客がお庭の前で並んでいたこともあり、「待つのは嫌だなあ」とお庭の見学はしていませんでした。でも、もしも夏椿のことを知っていたら絶対に並んでいたと思います。
地元の人からすれば「妙心寺は夏椿が有名」が当たり前だと思いますが、観光客の目につきやすい入口のインフォメーションにそういった最新情報もあると嬉しいなと思いました。
戦国時代に思いを馳せる大徳寺(京都市北区紫野大徳寺町)
妙心寺の近くのカフェでお昼ご飯を食べたあとは、仁和寺まで20分くらい歩き、そこにあるバス停からバスに乗りました。
仁和寺から大徳寺の直通バスではなかったので、大徳寺の近くのバス停で降りて、そこから10分くらい歩いて大徳寺へ行きました。
大徳寺の最寄りのバス停だったら迷わないと思いますが、今回、私が乗ったバスだと大徳寺の裏口が一番近い入口だったので、「ここで大丈夫かな」と裏口のところで少し迷いました。
少し遠回りをしてでも、正門から入れば良かったです。
ポイント
・一休さんや千利休など歴史を身近に感じるお寺
・お寺の日常感を味わえる
・お寺同士の連携が感じられず残念
大徳寺は臨済宗大徳寺派の大本山です。
1315年に大燈国師によって創立されました。
室町時代に起こった応仁の乱でお寺は荒れ果ててしまいますが、テレビアニメ「一休さん」でおなじみの一休宗純和尚が復興させ、その後、豊臣秀吉が織田信長を弔うためのお寺を作ったり、石田三成や前田利家などの戦国武将がお寺を建てたりするなど、日本の歴史と密接に関わってきました。茶道で有名な千利休ともゆかりのあるお寺です。
大徳寺の本坊は非公開となっているため、今回は一般公開されている塔頭(小さなお寺)を見学してきました。
大徳寺のここが良かった
①歴史上の人物の名前が看板に書かれていた
大徳寺の良かった点は、歴史を間近に感じられたことです。
京都市の看板がそれぞれの塔頭の入口にあり、そこには、聞いたことがある歴史上の人物の名前が書かれているものもありました。
本坊を見ることが出来ないし、塔頭も見学できない所がほとんどでしたが、その前を通るだけでも、看板を見て「この戦国武将の名前、知っている!」となって楽しかったです。
私はあまり歴史が詳しくないので知らない名前もありましたが、戦国時代が詳しい人は、大徳寺の境内を歩いて看板めぐりをするだけでも幸せな気持ちになるのではないでしょうか。
②お寺の日常を味わうことができた
私は大徳寺に行ったのはこれで2回目です。前回は、中学校の修学旅行の自由行動で行きました。
ですが、その時にお抹茶をいただいたことしか記憶に残っていません。
どうしてかなあと思っていましたが、今回、再び見学してみて、良い意味で何もないからだなと気が付きました。
塔頭と塔頭の間の通路には看板がほとんどなく、見学できる場所が少ないせいか私が行ったときは観光客もそれほど多くなくて、まるで、自分が観光のために来ているのではなくてお寺の関係者のような気持ちになれました。
私の住んでいる街にあるお寺は京都のお寺のように有名ではないので観光できませんが、もしも中に入ることが出来たら、大徳寺で感じたような気持ちを感じることができるのかなと思いました。
大徳寺のここが残念だった
①塔頭同士の連携がないような気がした
次に、少し残念だなと感じた点です。
見学した塔頭に、他に見学できる塔頭の地図(看板)があったのですが、そのうちの一つは実際に行ってみたら見学することができない状態でした。
入口に「一般拝観は休止」という看板がありました。
少しだけ離れている場所の塔頭だったので、真夏日のなか汗をかきながら行ってみたら拝観できなかったので残念でした。
見学できる塔頭はほとんどないので、見学できる塔頭同士で情報共有をして、自分のところで掲載している看板の情報を更新してくれると良いのになあと思いました。
また、京都市が立てた看板も古くて文字が読めなくなったものがいくつかあったので、立て直してくれると良いのにと思いました。
②塔頭によってお手入れにバラつきがあった
次に残念だなと感じたのは、数少ない塔頭のみの見学でしたが、そのなかでも丁寧に手入れがされているところもあれば、正直、もう少しキレイだといいのになと思う塔頭もありました。古い建物なので仕方がないのかもしれませんが、お手洗いが男女同じ入口の塔頭もあり、そういった形のトイレは小学校以来だったのでびっくりしました(手前が女性ゾーン、奥が男性ゾーンでした)。
海外ではトイレの男女共用化が進んでいると聞いたことがあります。ですが、それはすべて個室だからだと思います。トイレをお借りしたとき、他に使っている人はいなかったので良かったですが、もしも男性が用を足している場面に出くわしたらちょっと嫌だなと思いました。
また、塔頭ではそれぞれパンフレットなどを配布していましたが、そのお寺単体の御由緒は分かっても、それをまとめる大徳寺としての歴史は、いただいたパンフレットには書かれておらず分かりませんでした。
非公開で残念!興聖寺(京都市上京区堀川通寺之内上)
最後に、京都駅に戻りながら興聖寺へ向かいました。
興聖寺は臨済宗興聖寺の本山で、1603年に虚応円耳和尚によって建てられたお寺です。
大徳寺から徒歩15分ほどの場所にあります。
事前にこのお寺のWEBサイトを見ていて、トップページに「仏様への信心をもってお参りされる方のみの拝観とさせていただいておりますのでご了承ください。」と書かれてあったので、「自分は拙いながらも信心はあるから大丈夫かな」と、特に事前準備もなく出かけました。
入口まで行って、一般拝観をしていないことが分かりました。WEBサイトのQ&Aにも「観光目的の拝観はご遠慮ください」と書かれてありましたが、トップページだけを見て大丈夫だと判断したため、事前にQ&Aまでは確認しませんでした(Q&Aは後で確認しました)。
トップページに「観光客の拝観は受け付けていません」とハッキリ書いてあると、私のような都合のいい勘違いは起きないのになあと思います。
WEBサイトやSNSを見るととても綺麗な境内なので、一般公開されたらぜひお参りに行きたいです。
さいごに
今回は行き当たりばったりで、しかも炎天下のなか、臨済宗の4つのお寺を巡ることができました。
出かける前にそのお寺の歴史とか、どんな建物があるかとかをもっと調べておけば、もっと色んなことが分かったのかなあと思いますし、もっと効率よくお寺を回ることができたのかもしれません(もう一か所行くことができたかも・・・)。
次はきちんと勉強してから行きたいと思いました。
4つのお寺はどこも個性があって、同じ臨済宗なのに全然雰囲気が違うんだなあと驚きました。
また、同じ臨済宗なのに、どうして「〇〇派」と宗派がたくさんあるのかなと不思議に思っていましたが、その時その時の歴史によってお寺が建てられていき、新しい宗派が出来ていったことが分かったので良かったです。
私の住む街にも多分、臨済宗のお寺はあると思うので、今度、お寺の前を通ったときは、「ここは何派なのかな?」とお寺の看板をちゃんと見てみようと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
【参考資料】
各寺のパンフレット、WEBサイトよりお寺の歴史などを引用しました