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執筆者:Suzy
交通安全観世音菩薩特集

山梨県 名勝 昇仙峡 バス転落事故を風化させないために建立された交通安全地蔵尊を訪ねて

執筆者:Suzy
執筆者:Suzy
交通安全地蔵尊
交通安全地蔵尊

春と秋の年2回全国各地で交通安全運動が実施されます。 国民に交通安全思想を浸透させ、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を進めることにより、 交通事故防止を図ることを目的としています。 山梨県内に交通安全地蔵尊があることを知り、毎日のように車を運転する一人として行ってみることにしました。

①交通安全地蔵尊

山梨県甲府市、日本一の峡谷美と言われ、平成百選にも選ばれた観光地、昇仙峡の近くにある交通安全地蔵尊です。
長い年月をかけて荒川の流れに削り取られた巨岩や奇石は、美しい形を醸し出し日本五大名峡の一つに数えられ国内有数の景勝地です。
県道7号昇仙峡グリーンラインを昇仙峡に向かって走っていると、急な崖のたもとに赤いスタイを首に着けたお地蔵さんが見えてきます。
実は、この場所で昭和52年(1977年8月11日)社員旅行中の観光バスが、昇仙峡グリーンラインを走行中カーブを曲がり切れずゲートから約300メートル天神森寄りの沢、約45m下に転落し、死者11名、重軽傷者34人を出す大惨事がありました。
交通安全地蔵尊は、転落したバスが落ちた場所にあります。

交通安全地蔵尊掲示
交通安全地蔵尊掲示

昇仙峡からほど近い夫婦木神社(めおとぎじんじゃ)の斎主鈴木一光氏が、今後このような事故が起こらないようにと昭和53年1月、交通安全地蔵尊を建立したそうです。
同年3月には故人の冥福を祈り昇仙峡観光協会と共催し法要を営む。
昭和57年の8月11日、事故から5年目を迎える命日に関係団体と合同慰霊祭の際には遺族より鈴木氏に感謝の意が伝えられ、同年10月16日に鈴木氏81歳を迎えるに当たり施設一切を奉贈。
毎年事故の起きた8月11日には地蔵祭りが行われるそうです。

交通安全地蔵尊掲示
交通安全地蔵尊掲示

交通安全地蔵尊を通った人が、ここで何が起きたのかをしっかりと理解し、これを風化させず、二度と繰り返さないよう考えることが大切だと思いました。
自分一人では大きなことはできませんが、一人一人が事故を起こさないように細心の注意を払うことならできると思いました。

②昇仙峡

交通安全地蔵尊を後にし、昇仙峡へ向かいます。
交通安全地蔵尊がある昇仙峡グリーンラインを登るとすぐ、昇仙峡観光エリアに到着です。
事故にあった方々も楽しんだであろう昇仙峡を見て来ました。
昇仙峡を楽しむには5つほど遊歩道ルート、ロープウェイがあり、健脚、お年寄りなど足腰の弱い人など個々に合わせた様々な楽しみ方があります。
今回は、滝上駐車場に駐車し覚円峰(かくえんぽう)、仙娥滝(せんがたき)、石門(いしもん)などを巡るコースを回ることに。

水晶のお土産屋がひしめく、まさに水晶通りです。
水晶は日本各地で採取できますが、中でも昇仙峡が日本の水晶発祥の地とされ、甲府市は宝石の街として有名です。
古代の日本人は水晶などで出来た勾玉(まがたま)を御守としていたそうです。
お土産屋さんのある通りを歩いているだけでも、あちらこちらから水晶のパワーが感じられました🔮
界隈は、水晶宝石博物館、水晶すくい、水晶工芸、水晶研磨の見学…など水晶づくしです。

  • 昇仙峡土産水晶
    昇仙峡土産水晶
  • 昇仙峡水晶紫 この紫色の水晶は268,000円!!
    昇仙峡水晶紫
    この紫色の水晶は268,000円!!

昇仙峡自体から水晶を作り出すパワーが感じられますが、他にもパワースポットがたくさんあるので紹介しますね。

パワースポット1昇玉堂(しょうぎょくどう)鈴結び

巨大な水晶玉と不動明王像が祀られる願掛けのできる社。
クリーム色のマーブル模様の水晶玉はなんと直径85㎝、重さ850㎏!
水晶玉に触ると、ひやっとして、オーラが出ています。

仙玉堂では鈴結び(すずむすび)で願掛けを。
金色、銀色どちらかの鈴(100円)に名前を書き社内に結び付け、水晶に触ると願いが叶うとか…。

  • 昇玉堂
    昇玉堂
  • 昇玉堂水晶
    昇玉堂水晶
  • 昇玉堂鈴
    昇玉堂鈴

金鈴 ⇒ 仕事結び(仕事、商売、金運)
銀鈴 ⇒ 健康結び(健康、病気平癒、健康祈願)

パワースポット2八珠願い(やたまねがい)

池に置かれた七福神の前にある受け皿に願いを込めて宝石を投げ入れることで願掛けをするスポット。

願掛けの方法
・8種類の宝石(願い石)をガチャガチャから購入(200円)。 ・「願い石」を七福神の石壺めがけて投げ入れる(奉納) ・中央の石壺には、水晶玉(透明の宝石)を奉納。 ・最後に手を合わせ願掛け。

  • 八珠願いガチャガチャ
    八珠願いガチャガチャ
  • 八珠願いカプセル中身
    八珠願いカプセル中身
八珠願い池
八珠願い池

🔮 8つの玉の御利益
・緑…福禄寿
・ピンク…弁財天
・紫…布袋
・椿色…恵比寿
・黄色…寿老人
・黒…毘沙門天
・茶…大黒天
・透明…あなたの願いを込めて♡(絶対に入るように一番手前に配置されています)

パワースポット3紅水晶&緑の“ひすい”『おもかる石』

何とこの、『おもかる石』で願いが叶うかどうかわかるそうです!

願掛けの仕方
・置かれている『紅水晶』と『緑色の“ひすい”』を持ち上げて、重さを確認 ・一度石を置く ・願いをこめて石を触る ・再び石を触り最初より軽く感じたら願いが叶うのだとか “紅水晶”も“ひすい”もどちらも軽く感じたので願いが叶うかも?!

  • 紅水晶
    紅水晶
  • ひすい
    ひすい

パワースポット4かえる仙人🐸

可愛らしい、かえるのオブジェが置かれた池。
手前のざるにお金を入れ洗って使うとお金が増えてかえってくるそう💰。
もちろん洗って使ってみました!🐸

  • かえる仙人
  • かえる仙人

パワースポット5仙娥滝(せんがたき)

仙娥滝
仙娥滝

地殻変動による断層によって生じた滝、花崗岩の岩肌を削りながら落下しており滝の落差は30m。
勢いよく流れ出る滝の水は途切れることなく大きな音を出して流れています。
運が良ければ滝の水しぶきで虹が見えるのだとか🌈
新緑、紅葉、雪景色、どの季節でも綺麗な景観が楽しめそうです。

パワースポット6覚円峰(かくえんぽう)

覚円峰
覚円峰

昇仙峡の主峰と言われ、澤庵禅師(たくあんぜんし)の弟子僧侶覚円(かくえん)が畳を数畳敷ける広さの頂上で修行したことが名前の由来。
花崗岩が風化水食を受けてできたもので約180mの高さがあり、周りの多々ある奇岩と共に独特の雰囲気を醸し出しています。
日本一の渓谷美を誇る昇仙峡の主峰というだけあり、まるで中国にいるような日本国内と思えない光景です。

パワースポット7石門(いしもん)

石門
石門

巨大な花崗岩に囲まれた石門は天然のアーチのよう。
背の高い人は気を付けて通らないと頭をぶつけてしまいそう。

自然の力が長い年月をかけて造り出した渓谷から、自然のみなぎるパワーを感じることができました。

昇仙峡 基本情報

・ホームページ…昇仙峡ホームページ
・アクセス
☑公共機関…
JR中央本線甲府駅 南口 昇仙峡行きバス
☑車…
東京-----2時間----甲府昭和IC-----35分
長野-----2時間----双葉スマートIC---35分 名古屋---3時間----双葉スマートIC---35分 大阪-----5時間----双葉スマートIC---35分 🚘カーナビで設定する場合昇仙峡だと通行止めで出るケースがあるため、「昇仙峡天神森」「グリーンライン昇仙峡」「昇仙峡滝上」などのバス停名あるいは、「昇仙峡ロープウェイ」等の施設名で入力するのがお勧めです。 観光にかける時間により駐車場所、バス停などが異なるので詳細はホームページを参照して下さい。

③⛩夫婦木神社(めおとぎじんじゃ)&夫婦木神社姫の宮(めおとぎじんじゃひめのみや)

昇仙峡の次は、交通安全地蔵尊を建立した鈴木氏が斎主(さいしゅ)を務めていた神社へ。
両神社とも昇仙峡から徒歩で行けます。

夫婦木神社鳥居
夫婦木神社鳥居
夫婦木神社お箸
夫婦木神社お箸

夫婦木神社は男宮、2㎞ほど離れた夫婦木神社姫の宮が女宮に当たります。
まず夫婦木神社から。
夫婦木神社内には樹齢1000年の栃の木の夫婦御神木があり、縁結び・夫婦円満・長寿・事業繁栄・無限の守護神で知られます。
この霊木といわれる夫婦木は社務所奥の特別な社に祀られていて、拝観料(300円)で案内・説明付きで御神木を崇めることができます。
神聖なる御神木というだけあり、写真撮影は禁止されています。
お土産に、『夫婦木神社』と書かれた木製の箸をいただきました。

社務所には2人初老のおばさんが常駐されているようで、1人の方が詳しく御神木のことを説明して下さいました。
御神木は元々神社から6㎞ほど離れた山奥にあり、昭和33年、現在地へ移し社殿を建立したそうです。
その翌年昭和34年、伊勢湾台風で甚大な被害があり、たまたま前年に夫婦木を山奥から移してあったため難を逃れたそうです。

次は、夫婦木神社姫(めおとぎじんじゃひめのみや)です。

夫婦木神社姫の宮 鳥居
夫婦木神社姫の宮 鳥居

夫婦木神社姫の宮に“運転神社御守”と書いた御守があるので、運転神社はどこなのか宮司さんに聞いてみたところ、神社で働いている方が事故のことを知っておられるようで色々教えてくれました。
45年前の昇仙峡でのバス転落事故と交通安全地蔵尊のこと、バス転落事故をきっかけに斎主鈴木氏が運転神社を姫の宮に祀ったとのお話を神社境内の庶務がある中、丁寧に話して下さいました。
斎主鈴木氏が事故後すぐ現場にかけつけ、運転神社建立を思い立ったとのお話を、つい最近起こったことのように話してくれました。
45年たった今も鮮明に事故について説明できる…それだけ事故の衝撃は大きかったのだろうと思いました。

  • 夫婦木神社姫の宮 本殿
    夫婦木神社姫の宮 本殿
  • 夫婦木神社姫の宮 御守
    夫婦木神社姫の宮 御守

運転神社は社務所奥にあり一般公開はしていないとのこと。
御守を身に付けて日々気を付けて運転しようと思います。

(姫の宮の御朱印は境内の紅葉の葉をつけてくれました)

  • 運転神社御守
    運転神社御守
  • 夫婦木神社御朱印
    夫婦木神社御朱印
夫婦木神社 基本情報

▪御祭神 伊邪那岐命(いざなぎのみこと) 伊邪那美命(いざなみのみこと) ☞伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)は、国生みの夫婦神 ▪住所 〒400-1218 山梨県甲府市御岳町
▪アクセス 昇仙峡仙娥滝より約1.6㎞

夫婦木神社姫の宮 基本情報

▪御祭神 
神功皇后(じんぐうこうごう)
天宇受売命(あめのうずめのみこと) 市杵島姫命(いちきしまひめのみこと) ☞神功皇后…第14第仲哀天皇の皇后。崩御した仲哀天皇に代わり、身重ながら朝鮮へ遠征、帰国後応神天皇を産む。縁結び、子宝の神。 ☞天宇受売命…天の岩戸に隠れた天照大御神の気を惹くために自慢のダンスを踊り一役買った技能向上、学問の神。 ☞市杵島姫命…宗像三神のうちの一人。美女三神の中でも特に美女で知られ、七福神の弁財天と同一視される。航海・交通安全の神。 ▪住所 〒400-1217 山梨県甲府市猪狩町
▪アクセス 昇仙峡仙娥滝より約600m

④荒川ダム(あらかわだむ)

荒川ダム
荒川ダム

昇仙峡から車で10分ほどの場所にある荒川ダムへ。
昭和61年に完成し、甲府市民の水がめの役割を果たしています。
ダムはテレビ等では見たことがあるけれど、本物のダムを見るのは初めて。
スケールの大きいダムは、それだけでパワースポットといった感じです。
ふと見るとダムそばに一軒だけぽつりと建つ茶屋右上に鳥居が見えます⛩。
茶屋脇の階段を上がった所にあるトンネル内に、あちらこちらから遷座された小さな石の祠が5つほど並べられていました。
荒川ダム建設にあたり、祀られていた祠をここに遷座したようです。
トンネルが社の代わりになっているようでした。

  • 荒川ダム近く神社
    荒川ダム近く神社
  • 荒川ダム近くの祠
    荒川ダム近くの祠

⑤⛩三魂交通神社(みたまこうつうじんじゃ)

昇仙峡の帰途、三魂交通神社を参拝してきました。
何度か通ったことがある場所ですが、ここに神社があったことは意識したことがありませんでした。

  • 三魂交通神社
    三魂交通神社

富士五湖の一つ河口湖湖畔沿い、短いトンネルの手前にある小さい神社。
その名も三魂交通神社、まさに交通安全対策のために神様を祀った神社です。

三魂交通神社 水天宮
三魂交通神社 水天宮
三魂交通神社 基本情報

▪御祭神 猿田彦命、中筒之男命、大鳥神
▪住所 南都留郡 富士河口湖町浅川1081-1
▪アクセス
・最寄IC 中央高速 河口湖IC
・最寄駅 富士急行線 河口湖駅より徒歩15分 ・最寄バス停 富士急行 ロープウェイ入口よりすぐ ・駐車場 30台

☞猿田彦命(さるたひこのみこと)…天照大御神の御孫、邇邇芸命(ににぎのみこと)の天孫降臨の際に高千穂へと導いた交通安全、旅行安全、道、土地守護、道案内、航路安全の御利益がある神様。 猿田彦命は、身長2m赤ら顔で鼻が大きく天狗のモデルとか外国人、渡来人の神様とも言われています。
最初、邇邇芸命が高天原から地上に降り立つ際、猿田彦命はが仁王立ちのように立ちはだかりましたが、邇邇芸命に同行していた天宇受売命(あめのうずめのみこと)の美しさに惹かれ、一転して邇邇芸命一行の地上への先導役になったとか。
ちなみに天宇受売命(あめのうずめのみこと)は、昇仙峡にある夫婦木神社姫の宮の御祭神の一人。天照大御神(あまてらすおおみかみ)が弟須佐之男命(すさのおのみこと)の悪行に愛想をつかし天の岩戸に隠れてしまった時に、自慢のダンスで気を惹くことに成功、のちに猿田彦命と結婚したそう。

☞中筒之男神(なかつつおのみこと)…住吉三神(すみよしさんしん)として知られる上筒男命(うわつつおのみこと)・中筒男命(なかつつおのみこと)・底筒男命(そこつつおのみこと)の三神のうちの一人。 伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が海の水面の水を使った時に生まれたのが上筒男命(うわつつおのみこと)、次に身体の真ん中あたりを浄めた時に生まれたのが中筒男命(なかつつおのみこと)、そして足の部分を浄めた際に海底から生まれたのが底筒上筒(そこつつおのみこと)。
この三神は大阪の住吉大社に祀られています。
水に関係することから水の神とされ、ご利益は航海安全。

☞大鳥神…開運、仕事運、交通・交通・航海安全、海上安全の御利益。 大鳥神は日本武尊(やまとたけるのみこと)の白鳥伝説で知られる大阪の大鳥大社(大鳥神社の総本山)から分霊を受ける。

☞水天宮…幼くして入水した安徳天皇を祀ったものであることから水難除け、安産、病気平癒など、子どもに縁のある神様。

富士五湖の一つである河口湖は、ホテル、土産屋、遊覧船、ボートなど観光客がたくさん訪れるため交通安全、水難除けのために建立された神社です。
神社を通ってお参りしてもらうことで観光客や地元の人が交通安全について意識してくれるようにとの願いで、4人もの神様をお祀りしたのでしょう。

交通安全地蔵尊を訪ねてのふりかえり

昇仙峡観光を楽しみつつ、交通安全地蔵尊、建立に関係した夫婦木神社、三魂交通神社を見て来ました。
今までに、大事には至らなかったけれど何度か事故に遭ったことがあり、身近でも小さい事故、人身事故を起こしてしまった人もいます。
新聞テレビでも交通事故のニュースを見ない日はないくらいです。
事故を起こしたくて起こした訳ではなく、運転の慣れによるちょっとした気のゆるみ、過失など、原因は様々です。
今回訪れた交通安全地蔵尊を建立するきっかけになったバス事故は、個人が気を付けていても防ぎ切れない事故だったのかもしれません。
車は便利ですが、使い方を間違えると凶器にもなります。
加害者にも被害者にも成りうります。
車やバス乗車時は必ずシートベルトをする、運転時は常に細心の注意を払う、歩行者の方も横断歩道を渡るなど交通ルールを守る事…。
ウィズコロナの動きと共に、お出かけする機会も増えています。
楽しいお出かけを事故で台無しにしないために。
交通安全を皆が意識するためにはどうしたら良いと思いますか?
この記事が交通安全について考えるきっかけになったら幸いです。

交通安全地蔵尊 参考文献
☑『漢字で読み解く日本の神様』山口 謡司 株式会社CCCメディアハウス ☑『日本の神様 ご利益事典』兵藤 喜久子  神宮館